アポジモーター黒歴史


人に歴史あり、ガンダム設定に黒歴史あり。
ガノタ文化研究のため、画像引用を止むを得ず行っています。


AMBACシステム黒歴史 ノズルもんだい ←あまり関係ありませんができれば見てください。


2016/7/12
■アポジモーターの歴史

●誕生
 「アポジモーター」の語が最初に使用されたのはいつなのか。確たる事はわかりませんが、おそらく1987年4月10日(メージュ87/5)です。

富野由悠季『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア (前)』(アニメージュ文庫)(p32) 
 カニンガムは戻ったマニュピレーターの勢いに合わせて、各アポジモーターを全開させた。

 いわゆる「MS解説史料」で使われ出したのは、この後のはずです。それに富野氏が関与したかはわかりませんが、小説版で使われている以上、アニメ版の解説に使われる事に何の問題もありません。

●発展
 でもってこの後に、時代を遡って「ファースト、Ζ、Ζ」の解説史料においても使われる様になりました。しかしもしかしたら、ΖΖの後にアナハイムが突然「我が社では今後バーニア(スラスター)はアポジモーターと呼ぶ事にしました」と名称変更した可能性だって、ありえなくもないのですが…。これにはおそらく富野氏は関与せず、「サンライズの設定担当者、もしくは伸童舎、ないしは他の雑誌編集者」だと考えられます。なぜかというと、そういった「泡沫的メカスペック」に富野氏が関わったという話を聞かないので。そして以後の各諸続編においても「アポジモーター」が使われ(センチネル除外)、つまり「最初からアポジモーターだった」という事になった訳です。

●終焉
小倉信也さんのツイート_ シリーズの過去作についてはもう仕方がないですが、せめて自分が担当し携わる“宇宙世紀”の“新作”については、自分の仕事としての責任において、“ガンプラ方言”など間違った用語は“台詞”、“表記”において完全に駆逐する意向です!
宇宙世紀世界の設定:アポジモーターや熱核融合炉など - Togetterまとめ
 サヨウナラ、サヨウナラ…

●葬送

アポジキックモーター - Wikipedia
ガンダムにおける誤用
機動戦士ガンダムをはじめとするガンダムシリーズでは「アポジモーター」という語が姿勢制御装置の意味に誤用されている。

 あー良かったガンダムが出てきて。ハイ全くその通りです、ナムナムバンナム…



2016/7/10
■お詫び

 下の「■これが、時代か…」は、2016/1/1のサーバー移転時にアップロードされた物で、更新告知をしていません。実は2015年秋にアップは止めようと思いとどまり下書き状態のままにしていた物で、いつもより攻撃的な口調なのはそのためです(この時はまだサーバー終焉の情報を知らなかった)。で、年明けのサーバーの(強制)変更に伴い、意図せぬ下書きが公開されてしまったという訳で、ちなみにその前の移転時にも同様の事が発生しています(←要は下書き用ファイルに戻すのを怠った自分が悪い)。



■これが、時代か…
バーニア・スラスター・アポジモーターの違いなど・その他雑記 - 哀シイケドコレ戦争ナノヨネ 《ボクの ワタシの プラモ製作記》
しかし、結果アポジモーターこそがもっとも推進ロケット噴射口に相応しい呼称だということが判明するのです。
以下wikiより抜粋
(中略)
なるほど。これこそがぼくの中のいわゆる《バーニア》そのものじゃないですか。アポジってぼくの中ではえっと、あの、プラモプラスさんのせいにするわけではないですけどPPアポジステンって部品、あれ小さい噴射口的なイメージだから、自然と《アポジ=姿勢制御用噴射装置》だと思い込んでいました。

まとめます。つまり
(大)軌道変更などに使用する大型の推進噴射口は≪アポジ(キック)モーター≫。
(大〜中)推進システム全般・もしくは姿勢制御等を行う噴射装置は≪スラスター≫。
(補)上記の噴射装置などの補助そのものの意味として≪バーニア≫。
バーニアロケットは補助ロケット。バーニアスラスターは補助スラスター。ということになります。

この結果、今まで自分の中にあったイメージと全部逆です。
バーニアが一番でかい噴射で、スラスターがそれ以下の姿勢制御用の噴射装置。アポジモーターに関してはエア噴射などで姿勢を制御する小型の噴射口、ぐらいのイメージでしたから。
思い込みとすり込み、勝手な妄想など、こじらすとやっぱり怖いということがわかります。 

 思い込みとすり(以下略
 えーと、人工衛星的には正解ですが、現実的(人工衛星以外)にもガンダム的にも間違いです。
 アポジモーターこそがもっとも推進ロケット噴射口に相応しい呼称なら、世の全てのロケットはそう呼ばれて然るべきすが、人工衛星だけでしか使われていません。つまり、アポジモーターが主ロケットであるという「人工衛星基準」を「他の基準」に当てはめる事自体がおかしいのです。まあそれを言うなら、富野氏が人工衛星の言葉をMSに用いた(台詞には無いが)事からして、そもそも科学的に完全におかしいのですが。
 あ、私が厳しい態度である事をいまだ疑問にお感じの方は、「遠地点(アポジー)」の意味を御調べ下さい。

 それからガンダム的には、所詮単なる制作側の都合(設定、おやくそく、決まり事)にすぎず、理由は「そう決められたから」のみ。なお、「なぜアポジモーターが小型の物を指す事にされたのか」は、多分単に小さいからかと(人工衛星の内部を御調べ下さい)。


■正しい解釈
アポジモーター - GUNDAM WORLD ENCYCLOPEDIA
厳しい言い方をすれば,各種資料を読み込まないで「知ったつもりになっている」ファンのこと。積極的に解説を行う必要のないライトなファン層や,細かい解説をきちんと読み込んだファンは,これを「そういった設定」であることを理解していた。(皮肉にもライトなファン層の方が,変化を変化として受け入れていたのである。

 大体同意するのですが、最後のところで私との見解のズレがあります。ライト層は別に柔軟だったり悟っていたりる訳ではなく、単に「知らない、気にしない、興味も無い(アポジーの意味を調べる事すらしない!)」だけかと。そしてその逆の濃い層、つまりチネラーにとってはアポジ廃絶は確固たる共通の意志であり、ガンダムUCにおいてはスタッフが意図をもって消し去っています。



2013/3/17
■つぶやき

 特に書く必要もない…と思っていたのですが、グーグル順位が2位に浮上(ただし地域やPC環境で順位が異なるので全くアテにならない)していたので、やっばり一応。ええと「アポジモーター」の語の初出については、下の2006/6/2の画像でカトキハジメ氏が「逆襲のシャアで製作者側が使い始めた用語」と述べている通りです。逆シャア以前の活字媒体(ZZのプラモインスト等の後付け設定)に存在するという話も聞き及びませんので、カトキ氏の発言内容を疑う余地はありません(おそらく、「変えた件」について御大に突っ込んだインタビューが当時のアニメ誌のどこかにある可能性は高いと思います)。


■フルバーニアン(フルバーナーン)をググってみた

Gundam Full burnern …約 38,500 件 (バンダイが良く使うスペル。初出は当時のプラモで、MG〜HGUCでは封印されるもその後復活)
Gundam Fullburnern …約 1,720 件 (『ガンダムオフィシャルズ』、『ファクトファイル85』他。当時の公式スペルは不明)
Gundam Full Vernian …約 21,500 件

RX-78GP01-Fb Gundam Full burnern 約 19,800 件 
RX-78GP01-Fb Gundam Fullburnern 約 10,500 件
RX-78GP01-Fb Gundam Full Vernian 約 30,500 件



2011/12/28
■関連(?)記事

ノズルもんだい
AMBACシステム黒歴史
AMBACという妄想

■「RV」=ラウンドバーニアン、「Fb」=フルバーニアン

 どちらも「ガノタ常識」。つまりVだったはずが、なぜかBになりました。bである理由は無論知りませんし、知ってどうなる物でもないでしょう(バーナーは無関係のはずです…少なくとも当時は)。

 「妄想語源集」のバーニアンのコジツケに関してですが、肝心の謎の単語「ベルナ」のリンク先が消失しており、即ち信憑性もゼロに。ええと要はバーニアに「他の意味」があれば俺的にオッケーなものの、現状は「ヴェルニエ(地名)」の意味にすら辿り付けないという情けない有様です(読みやスペルの多少の変更はあっても構わないものの、「RV」の略称を「RB」にする事はどうしてもイヤなので「ラウンドバーナーン」等には妄想できない)。

 それから余計な話になりますが、もしも私が好き勝手に設定をいじれるとしたら、意外に思われるかと思いますが「科学に準拠の反対」をやります。科学用語はなるべく使わず、大半の語を「造語」とします。実在のロケットの姿勢制御装置等の研究をされている方々に、できるだけ迷惑はかけたくありませんので・・・。



2011/12/23 (12/28改稿)
■アポジ・パージ

 現在、ウィキペディアで「アボジモーター」を調べると、「〜キックモーター」の方に強制的に飛ばされてしまいます(英語版ウィキと同じ仕様)。記述には無論、ガンダムのガの字もありません(ガノタ語解説ページでは、アポジモーターの語は黒い文字で書かれている)。という訳で、ガノタとしてはちょっと悲しい物が。うーん、何か恨まれる事でもしたかなあ・・・まあ理由は想像はつきますが。

 グーグルで「アボジモーター」で検索すれば、ガンダム関係ばかりが出てきます・・・この状況は恐らく永久に変わらないでしょう(←お前が言うな)。検索条件を「-ガンダム -モビルスーツ -MS」としてみても、変化はありませんでした。とはいえ、ガノタが「〜キックモーター」と呼ぶのを見た事はただの一度もありません。すなわち、キックの文字さえ付けて頂ければ、「検索ノイズの大幅な排除」が可能です。ですので、あまりガノタを(以下都合により略)


■ムックより
『TVシリーズ機動戦士Zガンダムフィルムブック (パート2)』 (旭屋出版アニメ・フィルムブックス) p224より
●スラスター
 推進器。本編中では推進器を「バーニア」と呼んでいるが、実際のバーニアは、スペースシャトルなどに搭載されている最も小型の微調整用ロケットモーターの事を指す。同様に、他のシリーズで用いられている「アポジモーター」は、本来は製品名である。その名称自体は、「多段式ロケットの一番最後に点火されるポジション」のロケットである事から来ている。どちらにせよ、本来の「推進器」とはニュアンスが多少異なるので、本書では「スラスター」に統一した。

 バルカン砲が製品名である事を彷彿とさせる設定です。
 ン、待てよ、良く見ると人工衛星云々とは書かれていないので、例えば月着陸船のロケットも「多段式ロケットの一番最後に点火されるポジション」に該当するな・・・ハッ、まさか実は「アンカー・ポジショニング・モーター(Anchor Positioning Motor)」だとでもいうのか!?(←また始まった・・・)


■黒きスペリング

 アポジモーターの語自体は、富野氏が「逆襲のシャア」で使い始めた事がはっきりしています。氏はその意味を単にバーニアの様な物だと勘違いし設定し、スペルは言明されませんでした。実の所、ガンダム用語のスペリング設定は厳密に決まっている物ではなく、かなりあやふやです(以前は、多少マイナーな機体だと昔は、マイナーな用語だと(2013/3/17修正)コロコロとスペルが変わりました)。という訳で、Apogeeとは確定していないのならばどうするか?・・・という問いに出された案は、三つが存在します。

 まず22年前に、最初に紹介したアポジション・モーター(Apposition Motor, Apposi-motor)が模型誌の作例記事中にひっそりと公表されました。その翌々年、電波妄想としてオグジュアリー・ポジグレード・モーター(Auxiliary Posigrade Motor/A-Posi Motor/A.P.M./補助偏向モーター)が小さくつぶやかれました(超真相-1で当初使った妄想ですがアポジションの発見後に廃案にしました)。そして2003〜4年頃に同人サークル「全日本絵画」において、烈風羅可庵氏によりアクティブ・ポジショニング・モーター (Active Positioning Motor)が提案されました。(※出典がどうも見当たらない…誌面上ではない可能性あり)
 つまり、少なくとも三人の脳内ではしっかり別のスペルになっている訳ですが、日本のガノタ人口から見て、あまりにも少ない数だと思います(しかし若いガノタよ、何やってんの!・・・妄想マインドは既に絶滅したとでもいうのか・・・)。
※ここでいきなり無関係な年寄リンクをどうぞ→http://page2.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/b111162909(消失)

 なお、フルバーニアン、ラウンドバーニアンに関して気になられる方は、一種の冗談ページであるでガンパラ妄想語源集とりあげていますので御笑読下さい。



2011/12/17 (12/28微改稿)
■ガノタ必見の良質記事
バーニア、ブースター、スラスター、その他/くーまる工房
特にガンダム系の場合、推力の大小に関らず「バーニア」を姿勢制御用ロケットの意味として説明されているのをよく見かけます。そのためか本来が主に対する「補助」、「微調整」という意味があるにも関わらず「メインバーニア」という単語もあるようです。ガンダムの世界でそのように使われるのなら、ガンダム世界の中では正しいことになると思います。(〜中略〜)しかし、現実の話においては(〜中略〜)特定のフィクション作品で使われている用語や概念が、その他の作品や現実世界でも使われていると思いこむのはマズイと思うのです。(中略)

書籍『ガンダム・センチネル』(〜中略〜)それにしては「アポジモーター」が間違いとか言っているので、じゃあこれはどうなんだろう? とか思ってしまうんですね。

 すばらしい、実に専門的なサイトで、世界に恥を晒すガノタの一人として頭が下がります。

 「メインバーニア」は、科学的には誤用である「ガンダム語」。こういった造語は良くあるので、与えられたモノを鵜呑みにしない方が良いでしょう。(おやぢ)

ロケットの、バーニア、スラスター、アポジモーターの違いは? - Yahoo!知恵袋
 いやバーナーは別に(以下略)。


 ノズル全般をバーニア(副尺)と呼ぶのが「宇宙世紀で正しいのか否か」は私の知った事ではありません。ただ、「メインバーニアはフィクションとして恥ずかしい」というのはあります。ちなみにマクロスはこの辺ちゃんとしており「メインスラスター」で統一されている様です。あ、そういえば、センチネルでは「フィン・ファンネル(ヒレ漏斗となり意味不明)」も突っ込んでましたっけ・・・どうやらこの手の事を気にしだしたらキリがない様です。(12/28修正)

 私見ですが、バーニアか広まった理由は「(脚本上で)呼びやすい」ためかと。RCSも補助スラスターも長すぎて脚本では使えませんし、スラスターも混乱します・・・よって残るのが「バーニア」。ですが、もっと短ければより多くのセリフを詰め込める訳でして、三文字の造語を作るのもいいかもしれませんね・・・アポジとか。

 なお私自身、妄想セリフでは「ジェネレーター→エンジン」、「推進剤→燃料」といった一般語訳(誤訳とも言う)を頻繁に行います。ちなみに0083に出てくる「推進剤」というセリフは、制作者側は「専門的だけれどOVAならオッケーだろう」という判断であえて使用していました(AGEなら無論アウトのはず)。


 ところで、なぜ五年半ぶりにこのページが更新されたのかというと・・・
宇宙世紀世界の設定:アポジモーターや熱核融合炉など - Togetter
 上から五番目に注目!



2006/6/2 (旧画像掲示板より移動、文章を変更)
■モデルグラフィックス別冊「ガンダム・センチネル」より

アボジモーター

 下のアレックスの画像(2011/12/17修正)が他所で「アポジモーターの言葉の出所が0080起源だ」との誤解の元となってしまっている事が判明したため、2005年7月に急遽作った物です(画像による誤解は画像で解くのが最も有効なため)。

※ムックにおける設定・・・ 商標 製品名(2011/12/17修正)(旭屋のZのフィルムブックより)。
※チネラー的位置・・・全否定。
※正統学界的位置・・・全肯定。
※ガンパラでの位置・・・スペルのみ否定。


■モデルグラフィックス1989年11月号(第61号)7ページより

アボジモーター Apogee motor

 アポジモーターを「Apogee Motor」ではなく「Apposition Motor」と表記しています。当時はまだ「Apogee」と公式のスペルが出されていなかった(と思われる)事を逆手に取ってなかなかうまいことコジ付けたものですが、気づかれる事も無くひっそりと黒歴史の闇へと消え去り、2004年10月にようやく発掘、という・・・。
※正統学界的位置・・・不明。
※ガンパラでの位置・・・激しく同意。当時私がコジつけた際(誌面に恥を晒したのは91年)にも、実はこの語が候補の一つに挙がっていました…(しかし気づくの遅すぎ!)



 
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