ノズルもんだい


穴フェチ082の黒電波


2017/12/10
■ガンプラのノズル内部は大半がマチガイ

  以下の内容は繰り返しになります。

 かれこれ四半世紀は言ってる気もしますが(今も私一人だけか…)、ガンプラのノズルは大半がデタラメです。

 そのガンプラのノズルに「穴」がありますか? ハイ、無いですね。

 では、現実のノズルはどうなっているでしょうか?

 現実のノズル(ベル型やコーン型)の穴に、アニメチックなディテールがありますか? ありません!!

 なお、ガンプラノズル内部の中央には必ず、出っ張った小さな丸い部分があります。実はここから噴射ガスが出るのだ、しかしプラモは製法上困難なため、モテラーがちゃんとピンバイスで穴を開ければいいだけなのだ…という方もいるかもしれません。しかし、ガスの流れを考えてみてると、流体力学上(知らんけど)、ひどく歪な流れになります。従って、現実的な設計ではありません。

 それでは、ガンプラノズルはそもそもどこからイメージを持ってきた物なのか? それはおそらく、ジェットエンジンです。

噴射口スレ スラスター、バーニア、ノズルの違い _ ブースト速報

 ジェットエンジンの真ん中の穴は穴ではない(塞がれている)事と同様に、ガンプラもまた然り。

 しかし、ジェットノズルのディテールをそのまま移植すればそれでオッケーなのか? この場合に、中央の円は一体どうなるんだ…?

 とお嘆きの貴兄におすすめなのが、「E-D型ノズル」(expansion-deflection nozzle)です。実物はまだありませんが、概念は大昔からあります。

 中央に円(穴無し)がくるので、周囲の穴をシャッターで塞げば、見た目はジェットエンジンと何ら変わりません。

 という訳で、そのままジェットエンジンのディテールにすればいいのですが、現実はコレです…

 「MG ガンダムデルタカイExt」 現状報告。。。 ( おもちゃ ) - お父さんのガンプラ!ブログ - Yahoo!ブログ

 ノズルの内部が3つもの謎の円型パーツで埋まっており、こんな物で噴射口としてマトモに機能するとは思えません。一体何を考えているんでしょうか…いや、カッコ良さだけを考えているのでしょうけど。

 全てのメカデザイナーがこうではないと信じたい所ですか、啓蒙の道の遠さを感じます。

 あ、プラモにスパイク(ジャンボのエンジンとかに付いてるコーン)をバーンとくっ付けてる人をどこかで見かけましたが、おっけーグッジョブ! 未来に開発される「E-Dスパイク複合ノズル」と考えられます(基本原理さえ外れなければ妄想はし放題)。

 

 ええと、言いたい事はつまり「穴がいる」という、ただそれだけです。あ、これザメルのホバークラフトのデタラメ性への突っ込みと全く同じだ…(ボソッ)

 

3Dプリンターで作るエアロスパイク・ロケットエンジン _ Kickstarter fan!

 えっ、そこから炎が出るの?! 想定外の燃え感です。

 

㠶足タケヒコさんのツイート_ _最近のミサイルのノズルてこんななのね。

AIM-9X Sidewinder サイドワインダー

Thrust Vector Control 推力偏向制御 - Google Search

 ガノタを断罪する自らも、現実の進化にマッハで振り落とされている。

 

 あと、最後にもう一度繰り返します。既存のガンプラ常識を疑う事を推奨していますが、新しくて萌えるリファインだからそっちが正しいのだろうな…と自分の頭で考えずに判断する事も危険です。

 例えば、バイファムに使われているノズルはベル型、ネオファムはすぼまったコーン型、増設バックユニットの純宇宙用ノズルは全く異なる裾広がりの形をしています。これら三種はそれぞれ特性(得意な場所)が異なるため、区別をせずに全く同じ市販のお助けディテールアップノズルを使う行為は、放映当時よりも科学的に退化しています。つまり、有名なモデラーやメカデザイナーがそうリファインしているからといって、鵜呑みするのもダメだという事です。

 それでは、大昔の知識だけで語っている老人の10年ぶりの戯言をここで終わります。続きは10年後にでもまた…(無いでしょうけど)。

 

 



2007/4/9 (4/16 微改稿)
■この問題が当サイトの主張で三番目に重要な物だという事を知る人は少ない・・・っていうか多分誰もいない

 現在、ロケットガールと大江戸ロケットとムーンライトマイル(←有料放送のため見てない)が放映中・・・なのは特に関係ないのですが、ロケットノズルについての話をします。先日、4年ぶりに「どうせヒットしないだろうな」とダメ元で「スパイクノズル ガンダム」で検索した所、予想外にも一件ヒットがあったため以下に大幅引用します。

スタジオレックレス http://www5e.biglobe.ne.jp/~reckless/info05.html
>「二宮氏の経験値と知識は我々が一皮剥ける為には絶対に必要不可欠なモノである。リアルを我々なりに提唱してきているつもりだけど、ディテール面で今一つ何かが足らない気がする。実際その道に詳しい人達からは笑われているのが現状。もう思いつきでパネルラインを入れている時期ではない気がする。パネルラインがまったくないのも不自然。でもやたらと入れれば良いというモノでもない。(中略)
何度も繰り返される打ち合わせ。リニアスパイクノズル、ラムジェットエアインテーク、爆発成形等々今まであまり聞く事の無かった単語が沢山羅列されそれを覚える事だけでも大変だったとも言っていました。

 以上、引用終了・・・あ、引用じゃない様な気もするのは気のせいですのでよしなに。

 先月ののMG誌(ヤマト特集)で、現実のロケットノズルの外側の写真を載せて「アニメモデルのノズルは実在の物とは云々」とやってましたが、確か7年前くらいにも聞いた覚えがありますねえソレ・・・という事で、多分このままだと7年後にもまた同じセリフを聞く事になるでしょう。なぜなら、そもそも『問い』がちゃんと発せられていない物は受け取ろうにも不可能です。何となく「これじゃダメだよ」と言った所で、「だって未来の熱核エンジンなんだし・・・(MSの実物なんてわかんないんだからほっといてよ)」と何となく言い返されればハイオシマイ。ですので、まず「何が問題であるのか?(問題自体がそもそも存在するのか?)」を明確に見つけだす所から始める必要があります。

 私が考えるに、ノズル問題は誰も気づいてはいないものの(検索しても一向に出てきませんでしたしねえ)非常に大きな問題であり、旧来の考え方ではなく、妄想を使わねばこれを突破できません。元よりガンパラの方法論は、現実からトランスレートしたディテールの積み重ねでリアリティを付加するのではなく、リアルその物の妄想追求にあります(よって最後は萌えに負けて自滅しますが)。問題はディテールにあるのではなく、内側であり、形状自体であり、概念その物です。そしてこれを解決するために必要なのは「原理の理解」であり、「現実の最先端の知識」です。

 ええとそれでは、まずは基本知識から。「バイファム、ネオファム、RVの宇宙用ブースター」の設定画を見比べると、これらのノズルの形状がそれぞれ違う事がわかりますが、そこがミソです。バイファムに付いているノズルの角度を良く見ると、宇宙−大気中での使用に優れた「ベル型ノズル」である事がわかります。そして、バイファムよりも地上戦闘を重視した機体であるネオファムのノズルは、大気中に適したコーン型です。更に、宇宙用ブースターの広がったノズルは大気中では役に立たない形状ですが、無論宇宙での使用に適しています。つまり、ちゃんと計算された角度だったのです。しかし、現在のアニメがバイファムの様にちゃんと計算されているのかというと・・・ムニャムニャ。
 またこの他に、「大気中でのノズル噴射出力は一定より下回ると効率がガタ落ちになる」という原理上の制約も基本と言えます(つまりデザインの際にはプロペラントのサイズも考えずにいたずらに大きくするとウソ度が高くなるため注意が必要)。という訳で、この二つから「宇宙空間での高効率と大気中での小出力用ノズルが全く違う物ならば、「ノズルの角度を可変、かつ大型化できる伸展ノズル」にすれば両者の利点を兼ね備えられるとの結論が導かれます。これに関しては実際に様々な伸展方式が考案されていますので、とりあえず映像化すれば面白い絵になるのではないかと思います。

 しかし、ノズルの基本を知ってしまうと大きな疑問が立ちはだかります。ここでまず、手近にあるガンプラのノズルを御覧下さい。そのノズルの中には、穴がありますか? ありません! そこに穴などは一切開いておらず、ディテールでしっかりと塞がれているはずです。では次に、ロケットの原理を図解した本なりを御覧になり、ノズルの内部のチャンバーに至る辺りがどうなっているかを確認して下さい。そこにはまさに大穴が深々と広がっているはずです・・・さあ、困りましたねどうしましょうか、全部のガンプラのノズルをピンバイスでグリグリして大穴を空けるべきなのか。それとも中央の小さな丸いディテールに小穴を空けるべきなのか・・・。

 しかし、それらをせずとも大丈夫ですので御安心下さい。ここで颯爽と登場するのが、未来のノズルである「E−D(expansion-deflection)型ノズル」です。外側はベル型と同じで、内側もガンプラのそれと非常に似ています。ガンプラやアニメプラモのノズルは、ベル型ノズルだと考えるとインチキ極まりない物にすぎませんが、実はE−D型であるのだと考えれば科学者からは笑われずにすみます。しかし、似ているとは言っても所詮はモドキですから、その実体は「ただ塞がってるノズル」ないしは「E−Dノズルだと考えられなくもないノズル」であるにすぎません。つまり「真のE−D型ノズルを持つガンプラ」は、まだ誰も作ってはいないのです。

 また、「E−Dノズル」とは異なる最先端ノズルである「エアロスパイクノズル」に関しては、多くの方が御存知の事と思います。しかし、これをガンダムデザインに導入する事は行われる気配がなく、相変わらず旧態依然としたままです(まあ佐山ノズルは萌えるなぁーというくらいでしょうか)。リニアスパイク、スパイク、プラグ型のそれぞれが実にアニメメカ的であり、宇宙の海にふさわしい形状だというのに・・・。
 しかし、アニメメカのノズルが現実よりも遅れているという以前に、メカデザインのセンスからして追い越されていますから、ノズルもまた然りであるというだけにすぎませんが。工業デザインの世界に「ガンダムデサイン」という蔑視語がある事は有名ですが、アニメメカのセンスはとっくの昔にインダストリアルデサインに敗北し、笑われるホワイトグッズに成り下がってしまったのが現状です(最後の天才・山下育人が白夜書房からデビューしてからもう20年以上が過ぎました・・・)。

 ちなみに、とあるダメガノタが啓蒙を兼ねてトゲトゲのスパイクノズルを付けまくったMD-86Fを描いたのも、かれこれ16年前の話。(なお、この型式番号は「メカデザイン・86年2月」という意味があるのですが、トゲトゲは5年後の清書時に無理やり付けた物で、当時のF91の敵メカのノズルのオンパレードが美しくないため、こうすると良いのでは?という提案も含んでいました)。

 なお、これらのノズルに関しては専門的な工学書には大抵書いてあるのですが、一般向けの宇宙の本で見た事はありません(若い頃にバカ高い専門書を立ち読みして覚えたものですが、今はネットで見つかります)。とはいえ、人類が月に立つ以前に出された本にも触れられており、つまりスパイクやE-Dノズルは最先端の知識などではなく、大昔から国内で公開されていた情報にすぎないのです。そう、これぞまさに暗黒の40年間と言えるのではないでしょうか・・・


 ・・・とは言ってはみたものの、メカデザインというのは所詮「記号」にすぎません。ですので、現実がどうかではなく、どう視聴者が受け取り認識できるが、映像の快感原則に則れるか(萌えるか)のみが重要です。よって例えば、「戦闘中にパイロットがプログラミングなんていちいちする訳ないだろ」と誰もが思っている所にそれをやっても、受け皿が機能できなければキャッチャーのいないキャッチボールとなりキリモミして自滅するだけです。どんなに現実に即したリアルでも、一般的認識から外れており人々に受け入れられなければ無意味なのです。大事なのはリアルよりもリアリティです。そして、リアリティの正体とは「萌え記号」です。

 世のアニメロボットのデザインは「肩当て等は無駄に重装甲でノズルはムキ出し」というのがほぼ全てを占めています(まあハイザック等部分的にカバー装甲が付いた物もありはしますが)。しかし冷静に考えるとこれは大変におかしな事であり「頭隠して尻隠さず」の様な物ですが、一般的認識から導かれる所の「常識的リアリティ」であるため、このアニメメカ記号を変える事は不可能です。

 よってここで、それをネタに「装甲が無い理由」をああだこうだと掲示板でバトルするのが普通のガノタのスタンスなのでしょうが、ここで「心の目」をもってしてMSやムサイのノズルを覆う重装甲を幻視して電波妄想する、それがガノタ界最狂であるガンパラ の思想です。すなわち結局は完全に孤立して自滅する他に道はないのが現実ですが、それでは悲しすぎるので例によって来世に希望を託します。私が死んだ後、数十年か数百年後の事かはわかりませんが、いつの日か宇宙ロケットに防御用火器が搭載されて「薄い、軽い、ムキ出し」のノズルが装甲化された時をもってして、一般認識それ自体が変化するはずです。そしてガンパラの思想が黒き墓の底より蘇る事でしょう・・・いつか、必ず。

 なお余談ですが、世の戦闘美少女のビキニアーマーのデザインは「肩当て等は無駄に大きい重プロテクターでヘソやフトモモはムキ出し」というのがほぼ全てを占めています。しかし冷静に考えるとこれは大変におかしな事であり「頭隠して尻ヘソ隠さず」の様な物ですが、オタク的認識から導かれる所の「本能的ハァハァ」であるため、この萌え記号を変える事は不可能です。

 ええと要するに、「結局はリアルではなく萌えこそが絶対真理なのだ」というお話でした。

※付記
○ちなみに当サイトが最も訴えたい事は、ガンダーの絵(剣を持ってる奴限定)を見てのとおりの手首問題で、二番目は太陽光ステルス問題です。どちらもいまだ問題にすらなってませんけど・・・。

○「佐山ノズル」は私の造語ですが、無論、佐山善則氏がジムカナールとか希望号に付けてるアレです。ちなみに「松本ノズル」でググったらたった一件だけヒットしましたが、「松本メーター」だとしっかり1330件なので、世にノズル愛好者がいかに少ないかがわかります・・・。

○宇宙戦艦や宇宙戦闘機のデザインでは、ノズルは一番後ろの末端に配置するのがお約束なのですが、もしも現実に作るなら「機体中央の重心に配置した上で自在可動」が最強でしょう・・・発案したぬえ自身によるOVA版ロジャーヤングしか存在しませんが。なお、永野氏がハンブラビ以降良くやる手に「ノズルがない」というのがありますが、いざ蓋を開けてみれば「効率を犠牲にしてでも完全な装甲化が必要」という結果になる可能性も高いと思います。


オマケのノズル画像

 「宇宙科学研究所」の2003年の一般公開で撮影した物です(毎年夏に一日だけ公開されてます)。
http://www.isas.ac.jp/ (bilingual)

↑実物ではなく模型です。先端部は一段下がって塞がっていました。


↑詳細をチェックし忘れましたが、多分イオンエンジンの「E-D annularプラグノズル」かと。


↑これもイオンで、中心の電極棒が萌えます。うーん、佐山ノズル・・・。


ノズルりんく

リニアスパイク http://www.lizard-tail.com/isana/review/view.php?search_id=20010625120440
スパイク http://www.lizard-tail.com/isana/diary/?date=20040420
伸展ノズル http://www.iat.jaxa.jp/res/retc/b06.html
コーン型が現役の理由 4/12参照 http://stada.jp/think/0304.htm

ノズルいろいろ(英文)
http://www.aerospaceweb.org/design/aerospike/outflow.shtml
http://www.kerc.msk.ru/ipg/development/nozzles/nozzles_e.shtml


2008/7/15追記

雑記07-10 10/17
●「ガンプラマニュアル4」で公表された「シースパイクノズル」のノズル形状は、「〜王国」さんのグラブロ以降ガンガルブにも使われていますが、宇宙物なのでこの場合は「松本ノズル」と呼ぶべきか・・・。まあ、松本ノズルは航空機のジェットエンジン末端(戦闘機には少ないが旅客機に多い形)そのまんまな訳ですが、どうもプロペラ機の先端形状がイメージソースの様です(MF文庫 ひおあきら「宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち」』の出渕氏の解説を参照)。

●「佐山ノズル」で調べたら、濃いチャットでは日常的に使われている単語と判明。ググって無いからって「私の造語」というのも考えてみれば変ですね・・・まあ私の影響が無いとも言い切れませんが、こんなマイナーサイト(ねらー曰く「あんなところ」)はまず見てないでしょうし。
 まあ「河森ネジ」等に限らず、こういった命名権は「第三者」の特権ですし、別にこちらには批判する意図はありません。という訳なので、「佐山ノズルはイオンノズルのパクリだ!」といった流行りの「検証画像」を作るのはなるべく自粛して頂けますと幸いです。


2007/4/9
2007/4/16 微改稿
2008/7/15 追記


G_paranoia
Space Colonies Delusion

G_Robotism