イデオンメカ関連

いろいろ抜粋


2010/6/12 (2012/8/8 訂正追記)
■イデオンは幼稚園バスだった!
太田出版 『イデオンという伝説』 p109より
樋口雄一(メカデザイン)
 僕がサンライズさんからオリエンテーションをもらって最初に出したメカは、自衛隊の戦車とタンクローリー、それに幼稚園バスだったんです。
−−−幼稚園バスですか(笑)。
(中略)
 ところが、その企画にOKが出て、富野さんが監督になられた段階で「これは第六文明人の遺跡です」と。
−−−いきなり(笑)。
 あれはインパクトありましたね(笑)。今だに覚えてますから。
 (中略)
−−−全高100メートルを越える、とにかく大きいロボットなんだということを強調されていたと思うんですが、この辺りの設定も、やはり富野監督ですか?
 完璧にそうですね。僕の方は何しろ、最初は戦車とバスとタンクローリーですから。全部足しても100メートルにはならない(笑)。


■大きい物は難しい
太田出版 『イデオンという伝説』 p116より
山浦栄二(日本サンライズ企画部長)
僕が覚えてるのは、巨大なロボットを出して失敗したなということだけなんですよ。(中略)
とにかく、商品が売れなかったんですよ。だいたい、100メートルを越えるロボットのオモチャが売れるわけないです。

(※082戯言) ダイターン3は120m。〈2012/8/8追記〉

日本サンライズ 『伝説巨神イデオン記録全集 第4巻』より
松崎健一(脚本)
 総じて、かなりの人が設定にというか、物の大きさについてこれなかった点があるね。結局、かなりの人が核爆発の大きさもわからないでしょ。準光速ミサイルだって弱すぎるくらいだもの……。(中略)
イデオン・ソードにしたって、弱すぎます。29話の「閃光の剣」で、僕はソードをもっとすごいものとして書いたんです。

(※082戯言) 氏の発言にしては表現がストレートすぎて多少違和感があるのですが、口頭インタビューを全くそのままの形で文字起こしした物と思われます。〈2012/8/8追記〉


■富野ロボに性器は必須
音楽専科社 『封印―史上最強のオタク座談会』(岡田斗司夫, 山本弘, 田中公平著) p132-133より抜粋

田中 富野さんのヘンなとこっていうのは、もう見たらすぐわかるもんね(笑)。
岡田 まずモビルスーツのデザインもヘンだし。あの人、モビルスーツにチンチンつけるでしょ。
山本 そうそうそう。
岡田 性器つけるんですよ、女性器か男性器かどっちか。で、メカの話する時も、すぐそういう下ネタに走るんですよ、打ち合わせが。
田中 好きなんだ? そっちが。
山本 『イデオン』の重機動メカなんか、かならず股間にブツがついてる。
岡田 そう、股間に何かデッカイのがついたり、バカッと分かれたり、どっちかでね。俺、『逆襲のシャア』の時にメカ・デザイン俺が担当で富野さんと話したんですよ。こんなチンチンのついたメカで、女はなめてくれると思うの!?」とか言われて(笑)。
山本 モビルスーツなめる女ておらんと思う(笑)。
田中 おらんやろ、それ(笑)。
岡田 で、北爪さんってキャラ・デザインやってた人に、こないだアメリカのアニメ大会でうた時に「北爪さん、富野さんにしばかれたっていう噂があるんですが、ホントですか?」って聞いたら、「あれは制作を殴ったんです。でも、富野さん、僕を見ながら制作を殴るんです…。僕を殴ってくれたらいいのにと思いました」「そのときの富野さん、やっぱ『オマンコが…』とか言いました?」「言いましたー!!」(笑)。それから2人でレストラン行って、富野さんの話を(笑)。
田中 悪口ばっかり(笑)。
岡田 悪口と違う、情報交換(笑)。富野さんの悪口なんか言えませんよ! 富野さんは富野さん言うた事言うだけで笑えるから(笑)。「こんなクェス・パラヤのオマンコは僕なめないよ!」て、でっか〜い声で打ち合わせして(笑)、北爪さん、穴があったら入りたいて(笑)。恥ずかし〜!

(※082戯言) 一番下が、有名な「お○んこなめないよ」のオリジナルソースです。原文がWEBに見当たらず、都市伝説ではないかと疑う方も見かけたため長々と抜粋させて頂きました。


■脇役などいない
日本サンライズ 『イデオン記録全集 第4巻』より
−−−湖川氏の重機動メカに対するイメージを語っていただきました。
「一般にいわれるような『やられメカ』とは思っていません。メカをつくる場合には、人間もそうなんだけれども、『その人は1話で死んでしまいますよ』みたいな注文があったとしても、別に他と変わっていないですよ。その人の出てくる背景を考えるわけでしょう。
(中略)
 突然イデオンがやられ、その後ガンガ・ルブがヒーローになっても構わないわけです。(笑) 差別はありません。

(※082戯言) うーん、成田氏の「どんな宇宙人でもすべて星を代表する"戦士"としてデザインした」を彷彿とさせます。


■御大、メカデザインを語る
徳間書店 『RA51 伝説巨神イデオン THE IDEON』 p63-65より
「富野善幸メカニックデザイン考」

 子どものころから、飛行機作りが好きだったので、物の形をオリジナルデザインでやってみたいという気持ちは強かったと思います。実際に『ガンダム』のとき、モビルスーツの流れを注意して見ていった。そして、ある時期から、こういうふうにしてくれとかなりプレッシャーをかけてデザインをしてもらいました。

 おかげでアニメの中でのメカデザインというものの形が見えてきたんです。それで、次の作品『イデオン』では、重機動メカっていうメカニックのコンセプトを完成していこうと思ったんです。とくに、途中から具体的にぼくの作ったラフスケッチをデザイナーの方たちにかなり強要していってます。それも立体モデルの系譜や流れを追っていくうえでの必然性を考えたからなんです。物の表していくしかたっていうものは、ガンダムのときに具体的に意識したわけです。モビルスーツの流れを追っていったとき、ガンキャノンのデザインには、かなり、不愉快さが残りました。これは、パワードスーツというひとつの完成されたコンセプトがあって、そのうえで作ってしまったため、多少しかたがなかった面はあります。

 イデオンの制作当初、樋口さんの方で出してもらったデザイン案は、具体的なコンセプトよりもデザイン先行で、雑多な形のものが出すぎていると思えました。それで、一度決めたコンセプトにかじり付いていった方が、モデルの流れが見えるんじゃないかと意識したわけです。そんな中で、ジグ・マックのデザインを見つけだした。これを作りだしたとき、単にデザイン論だけでは、この形は出なかったのではないかという気がしました。これ以後、ジグ・マックを原型にして、一連の重機動メカシリーズを、作り出したわけです。ただ、こういった考え方が、スタッフにしっかり理解されるまでは、こちらのデザインポリシーを呈示し、ラフを作っていかざるをえませんでした。

 こういった、ガンダム、イデオンでやっていったことが、一連のプラモデルシリーズを作り出したと思います。これは、単発的なデザイン発想では、絶対にでないと思える。主人公の乗るガンダム一品だけでは、絶対に売れないのと同様、イデオンだけではメカは生きない。重機動メカシリーズがあってこそなのではないか。こうした一連のサブメカシリーズが、ひとつのアニメキャラクター商品のジャンルを作り出したといえるでしょう。
 その辺の感覚が、最近デザイナーの方でもようやく浸透していったらしくて、『ダグラム』みたいなぼくの点からまったく外れた部分で、新しいコンセプトが作られています。

 ガンダムのプラモデルが、発売以来よく売れていると聞き、いままで、ぼくがいってきたことがまちがいないと確信しました。それで、新作『ザブングル』でも、いままで同様のコンセプトから外さないようにしてみようと決めたわけです。ところが、不幸にして主人公の乗るウォーカーマシン"ザブングル"がロボット歩きをしている。さらに、ザブングルに合わせて、ほかのウォーカーマシンたちも動かさなければならないので、本来、それらがもっている、役割、意義といったものが生かされずにいます。これは、とても残念なことでした。もっと制作準備期間をおいてウォーカーマシンを出したかったのですが、十分に把握せず、出してしまったのが失敗でした。

 作り手としてたとえサブメカニックシリーズであったとしても生かしたい。そのことはひいては、作品全体の完成度までつながる。
 いまのところ、完全に満足できるものはありません。もう一度くらいチャレンジさせてもらって、オリジナルモデルに対して興味を捨てようと思います。あとは、若い人がやってくれると信じています。

(※082戯言) 当たり前の事を言っているだけに見えるかもしれませんが、当時は「敵(怪獣)は商売にならない」が常識だった時代でした。なお、あえて言うまでもありませんがガンダムの後半は御大メカのオンパレードで、イデオンではサブマリンの原案を御大と湖川氏が別物に塗り替えています。※イデオンはガンダム(御大ラフ→瓦清書)とは逆のパターンにつき御注意下さい(誤解している方を見かけました)。〈2012/8/8追記〉


2010/6/12
2012/8/8 訂正「アニメ大会で合うた → アニメ大会で会うた」、戯言追記。



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