「Ver.Kaガンダムの肩」のこと
Ver.1.01
今日「Ver.Kaガンダム」を買いました。毎回お約束のカトキ氏のデザインリメイクですが、Ver.Kaガンダムの決定画稿は未見で、キットのインストで初めて目にしました。そこで気になったのが、まず首の下の「\∈∋/」状の部分の解釈。ファーストガンダムは、この「\∈∋/」状の部分のパーツが、もともと意味不明のデザインなんですよね。
これに対しカトキ版ガンダム「センチネル0079Ver.Ka」では、どこまで意識したものかは不明ですが、襟を別パーツにして、3つの部品からなる物という解釈を加えたわけです。しかるに最新マスターグレードとして提示されたのがコレです。困ります(笑)
Ver.Kaガンダムに関して「唯一評価出来る」のは両肩のギミックです。良く見ると肩の上パーツがヒンジで開く様になっています。もともと「ラストシューティング問題」というのは、密かに未解決の問題でした。アニメ後にイラストを描かれた大河原ラスシュー画はまあソレとして、明確にラストシューティング概念を持ち出したカトキ版でも問題があります。
まず、決定的に「上げ方が映像と異なる」ということです。あの動かし方はアニメ映像(映像との違いは好意的に解釈されるのが常ですが)とは角度が異なり、また人体の動きとして見ても、なんだかおかしな格好になってしまいます。さらに、そもそも関節軸の通る穴が常時外側に露出しているはずですし、パイプが胴体側につかえてしまうので、立体で再現しようとすると説明が付かなくなります。話が脇道にそれましたが、こういう理由でラスシュー問題は未解決なまま、「デザイン上の課題」として宿題に出されていたワケです。これに対して「果敢に挑んだ」という意味でVer.Kaガンダムも正当に評価したいと思います。
でもヨイショはここまで、あの肩可動(パーツ持ち上げ式)では「映像で動かす」のはほとんど不可能です。腕を回して降ろすと肩パーツは正反対の位置に付いてハチャメチャなことになってしまい、ハッキリ言ってあの肩では映像化は不可能と思われます。物語を伴う映像には「連続性(コンティニュイティ)」というものがありまして、画面の表面部分のみを見ている視聴者は立体の矛盾で連続性を失わされ、ほとんど「映像」としての体を為さなくなってしまいます。ですから格好良く可動させるためには、肩は何者にも考えられていないプラモデルとは異なる動きをすることが必要です。この辺の演出に関しては、安彦氏は骨の髄まで染みている人ですので「ザク」ではスカート全体をぐにゃりと持ち上げてサイドにも覆い、ガンプラの様な不恰好なポーズにしない事と同時に、進行方向以外からの銃弾を機体内部に侵入させないように配慮されています。(それまでのロボットアニメの動きまんまですが(^^;))また、ゴッグでは機体全体を大幅に太らせてクリーンアップし、これによりハイパーハンマーを受け止めさせることに成功しています。さらにドムのスカートのジャバラ(設定画に書かれている)ですが、これもブラインドカーテン状のエアーインテイクになっており、そこから吸気しています。(少なくとも完全なる消費者ではなく、なんらかの形でMS評論を行う者であれば「好き嫌い」ではなくこういう点に着目したいものです。)こと「演出」に関しては安彦氏には脱帽です。こういう「天才の仕事」に多くのモデラーは挑戦するどころか気づいてすらいないのが現状です。
また脇道にそれましたが、カトキ版のラスシューはサカサマ問題だけでなく、肩位置も低いため、このポーズをとっても格好が良くありません。この肩自体が動かずシルエットが変化しないからです。超好意的に解釈して「大河原ラスシュー画」の様に肩パーツ自体も可動できたのだ、という意味付けを与えても同じ事です。ラスシュー問題に果敢に挑戦したカトキ版ガンダムでしたが、結果は残念ながら「全戦敗退」ってところでしょうか。もちろんバンダイからの指示で「今までと違うラインや、あまり目立った改変はするな」程度の指示は出ているでしょうから分の悪い勝負ではありますが、もうちょっと善戦してほしかったですね。正直なところ。
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